『女性農業委員への就任について~厚沢部町女性農業委員より~』

 

2019年(令和元年)10月4日

 

 厚沢部町農業委員会(外﨑明会長、農業委員14人)には、佐藤美登子委員(58)と𠮷田藍委員(39)の2人の女性委員が在職している。2人とも2期目で、2014年の改選時に就任。
当時は議会からの推薦で、町議会議員から「ぜひやってみて」「女性一人では寂しいから」と2人に声がかかった。

 「声をかけられたとき、農業委員はどういうことをしているのか知らなかった」と佐藤委員。𠮷田委員も「農地の転用関係の仕事をするところと思っていた」。ただ、2人とも自分の経営で農地を借りるときに近くの委員に相談していたので、その仕事をすることに「大変だと思った」と話す。

 1期目は先輩委員の話を聞いて勉強する日々。農地を転用するには、全部確認しに行かなくてはならないし、農地パトロールで畑に見えなかった場所が農地だとわかり驚くこともあった。2期目の現在はその経験を生かし、地区の農地相談もこなす。
2人とも、女性委員として大変だと感じるのは、「女性が集落に入って男性の中で説明するのは緊張します」とのこと。そして、やはり家事との両立。「家族の協力が欠かせない」と笑う。

外﨑会長は「特別扱いはせず、他の農業委員とまったく同じ仕事をしている。女性の観点からの意見でなるほどと思うこともあるし、農家が相談にきている様子も聞いており、頼もしく思っている」と話す。

『中標津町農業委員会による農地パトロール』

2019年(令和元年)11月1日

 

 中標津町農業委員会(本田信幸会長)では10月1~4日に農地の利用状況調査、同月11日に農地パトロールを実施した。利用状況調査は9地区で実施。その結果、遊休農地はなかった。その上で、農地パトロールでは砂利採取などの一時転用農地について現地調査を実施した。

 坂井一文事務局長は「農地パトロールでは、一時転用後に最終的に農地に戻してもらえるかを確認し、現地を見て問題があれば改善点などを通知することにしている。また全ての現地調査を農業委員全員で行うことにしている」と話す。現地では採掘業者の担当者に来てもらい、転用期間の計画や作業の進捗状況を説明してもらった。

農業委員からは、「工期の終了時期は。作業は順調か」「水がかなり出ているが農地に戻すとき大丈夫か」「どのくらいの高さに埋め戻すのか」などの質問があり、現地を見ながら業者と意見交換した。

今年、農業委員会と採掘業者の間で協議をして、一時転用に関する内規を作成した。本田会長は「協議したことで業者がそれまで単に土地の埋め戻しと思っていたものを大事な農地に戻す作業だと意識するようになった。今後も引き続き農地パトロールで確認していきたい」と話した。

 

 

『旭川市農業委員会による取組事例』

2019年(令和元年)11月15日

「女性が自由に語らう場を提供したい」と旭川市農業委員会の女性農業委員5人が10月28日に「農業女子ファームミーティング」を開いた。日頃思っていることや聞いてみたいことなど、何でも自由に話せる仲間づくりを目的に市内の女性農業者たちに呼びかけた。

旭川市農業委員会(浅沼博実会長)には、5人の女性農業委員が在職。その5人が実行委員となり、今回のファームミーティングを企画・開催した。
実行委員長の柿木和惠会長代理は、農業委員4期目。「農業委員になってからあたためてきた思いがようやく形になりました」と語る。

 参加者は20代から50代の13人と女性委員5人。女性委員がコーディネーターを務め、和気あいあいとした語らいとなった。

参加者からは、「トラクターに乗るのがまだ苦手だけど皆さんはどうですか」「冬場の機械のメンテナンスの仕方で、自分でもわかりやす記事があった」-など農業現場に関する話があれば、「まだ結婚したばかり。いつから農業が面白く感じるか」「子育てが終わったら、やりたいことがもっといろいろできるよ」-など生活のことの話もあった。

 

士別市農業委員会における取組事例

士別市農業委員会では、農業委員会法第38条の規定に基づく意見提出活動を実施する過程において、毎年、農業者との意見交換や定期的な調査を通じて、現場の課題を収集している。
収集した課題については、課題解決にむけ、農業委員会総会において、対策案を協議し、市長への意見提出を行うことにより、市の全体計画に反映させるなど、市の農業の維持・発展のために尽力している。
昨年度においては、
① 農業用排水移設の計画的な補修
② 新規就農者確保・育成に向けた支援策の構築
③ 有害鳥獣駆除対策の継続
④ 輪作体系の構築に向けたビート・馬鈴薯栽培の推進
⑤ 市独自の特徴ある交付金制度の検討による農業所得の向上対策の構築
⑥ GAP認証取得のための経費・維持費に対する支援の検討
の6項目について意見提出を行っている。

 

オホーツク農業委員会連合会における取組事例

 オホーツク管内の3市9町の女性農業委員を対象に、意見交換会を開催
参加委員から、「自分が委員を経験して次につなげるきっかにしたい。」「農業者からの相談に対して女性は柔軟に対応できる。」「専門用語や法律内容が難しく不安がある。」「あっせんは、人の財産に関わることから、特に注意が必要。」などの意見が出された。
これに応じ、網走市農業委員会では、農業委員会総会開催後に、法律などのミニ講座が開催されるなど、意見交換会の結果を反映している状況にある。
また、家族経営協定については、「目標の共有や、利益の確保を家族で考えることで農業の楽しさを理解できる。」「家族経営協定を勧める際に、自分の経験を交えて話している。農業をやる上で自分の地位の確立をして欲しい。」などの意見も出されている。

 

浜頓別町農業委員会の取組事例

 町・農業委員会・JA・農業改良普及センターなどの8団体の連携により浜頓別町農業担い手育成センターが設置されている。(事務局:農業委員会、2014年設置)
同センターでは、スムーズな経営継承を実現することを目的として、経営移譲希望者を登録する「お疲れ様銀行」を2018年2月に開設。
第三者継承にあたり、「格好良く農業を引退する」をテーマに活動をしている。
登録された情報は、酪農ヘルパー組合や新規就農フェア等において情報提供される。
農業委員会の小川会長(同センター会長)は、「農業経営者が長年積み重ねてきた優良な技術や経験をうまく繋いでいくためには、経営移譲をする側の意識も重要」と話す。
同センターでは、年収と継承希望者の生活費を勘案して譲渡価格やリース料を設定するなどの工夫を行っている。
同町職員は、「うまく機能していけば、農業経営者の意識が変わってくる。自分の資産を次の世代に譲りたいと思えるような仕組みになれば」と話す。
登録者を増やすため、今後、後継者がいない農業経営者に対し、個別訪問を行う予定である。

 

上ノ国町農業委員会における取組事例

 北海道南西部にある上ノ国町の丸山由美子さん(69)は、2014年から農業委員を務めている。人・農地プランの作成や遊休農地対策などに関わりながら、地域農業を維持するため様々な活動を続けている。
1999年、丸山さんは、教師だった夫の定年退職を機に50歳で同町に戻り、実家の農業経営を継いだ。実家のある宮越地区は人口約50人。農業者の高齢化が進むなか、丸山さんは同地区の農業者と協力した収穫作業の共同化を始めとした労働力の軽減を図っている。
また、2009年から、同地区の女性農業者と、郷土食「かたこもち」や地場産大豆「たまふくら」などの普及を始めている。そのため、廃校となった小学校の一部を加工施設に改装。もちや大豆を同町道の駅やお祭りなどで販売したり、町内外の子どもたちを対象としたもちや豆腐づくり教室を開いている。

 農業委員として新体制を迎えた今期、丸山さんは、「高齢者や女性が活躍できる場づくりに積極的に取り組んでいきたい」と話す。

 赤井川村農業委員会における取組事例

 全体の2割。これは、後志管内赤井川村の農業経営数全体のうち、村外からの新規就農数の割合だ。村内の農業経営数は約100戸。過去20年で25人が研修生として就農し、うち20人が個別経営で独立。現在も営農を継続している。
その背景には、村・JA・普及センター三者による支援体制がある。

  赤井川村では、農業者の高齢化と担い手不足により農業者人口が40年間で約半数に減少。地域農業の維持が喫緊の課題となっている。そこで、村とJA新おたる赤井川事業所に後志農業改良普及センター北後志支所が連携し、1996年に三者で「担い手育成センター」を設立した。主に村が新規就農者の認定や就農計画の策定を行い、農業委員会は委員のなかから研修担当委員を決め、研修生への助言や受入農業経営者との意見交換に務めている。JAが資金の相談や研修プランの管理を担い、普及センターは座学や現場での技術指導を行っている。

当初は、受入農家が研修生に研修手当を支払っていたが、特に冬の農閑期の手当負担が課題だった。そこで、2013年から研修生をJAの臨時職員として年間雇用し、冬期間はJAで営農計画の立て方や経理を学んでもらうことにした。また、JAが所有する農業振興センターでは、村内ほぼすべての育苗管理を行っており、研修生はそこで苗作りも学ぶ。
研修期間は2年。1年目は受入農家のもとで農作業を学びながら、研修生みずからセンターの協力を得て経営できる農地を探し、2年目からその農地で実際に経営を始める。
農業委員会の原智之事務局長は、「1年間で農作業を習得することは難しいが、さらに独立するための経営管理能力も養わなければならない」と話す。

 利用状況調査の実施(中標津町農業委員会・長沼町農業委員会)

 農業委員会は、農地法第30条の規定により、毎年1回、市町村内すべての農地の利用状況を調査している。目的は遊休農地の発生防止と解消だ。
調査で遊休農地や遊休農地化の恐れがある農地を発見した場合、農業委員会は土地所有者に利用意向調査を実施し、農地の利用調整や有効利用を進めていく。
また、ほとんどの農業委員会では、新体制に移行後、初めての調査となる。

中標津町では、10月5日から4日間かけて町内全農地約2万5千㌶の調査を行った。同町の農業委員は18人。町内を9地区に分け、1地区あたり委員2人と事務局1人の3人体制で班をつくり、それぞれ担当地区の農地を見て回った。
委員は、日頃から農地状況について見回りを行っており、今年は特に農地転用後の適正な利用状況を重点的に確認した。 4日間の調査の後、各班は適正に利用されているか判断が難しい場所を農業委員会に報告し、該当する場所を10月16日の午前中にバスを借りて委員全員で確認。

 午後から各班の報告状況をまとめて検討会を開き、違反転用や遊休農地の有無などを判断するが、結果、今年の調査では全農地が適正に利用されていることが確認された。

長沼町では、毎年、町内農地約1万2千㌶を南北2地区に分け、担当委員を決めずに、バス2台を借りて委員10人全員と事務局で南北それぞれの地域を確認している。今年も9月中旬に北部を、10月下旬に南部を調査した。結果、遊休農地または遊休農地化のおそれがある農地は確認されなかった。
同町農業委員会の田中正典事務局長は、「今回の改選で新しく農業委員になった方もいるが、委員全員で調査するため実施方法などに戸惑いはなかったようだ」と話した。 (写真左:中標津町農業委員会会議風景 写真右:長沼町農業委員会調査風景)

 

 千歳市農業委員会における取組事例

『利用状況調査における取組』

 毎年8月に実施している利用状況調査について、同調査を実施するにあたり、6月上旬に、農業委員10名で構成する農地小委員会を設置し、市内を4地区4班体制に区分し、利用状況調査の予備調査を実施。 
予備調査において、遊休農地があると思われるエリアと確実に耕作されているエリアを区分した上で、8月の農業委員会総会終了後において、利用状況調査を実施。
予備調査を状況を踏まえ、遊休農地があると思われるエリアについては、特に慎重に農地の状況について調査を実施している。
利用状況調査で発見された農地については、利用意向調査に加え、所有者の意向を確認した上で、利用の意向を踏まえ、農業委員会による利用調整、農地中間管理事業の利用など、希望に添うように調整を行っている。
こうした活動により、新規就農者に結びついたケースもあることから、千歳市農業委員会では、遊休農地の解消に向けて積極的な対応を実施している状況にある。

 陸別町農業委員会における取組事例

『耕作放棄地再生利用緊急対策の活用』

 後継者不足、高齢化に伴う離農により山間部における離農跡地の受け手の確保が課題となっている。
そのため、一部では、10年以上、耕作されていない離農跡地も出てきている状況にある。
こうした中で、後継者が就農したことに伴い農業委員会長である多胡会長が、率先して、離農跡地2haを取得し、「耕作放棄地再生利用緊急対策」を活用し、遊休農地の解消を行っている。

 「受け手が見つからない中で、これ以上見過ごすわけにはいかない。」
(多胡会長 談)

 根室・釧路振興局管内農業委員会における取組事例

《根釧女性農業委員の会における取組》

 『根釧女性農業委員の会』については、平成27年11月20日に発足した女性農業委員による任意組織。
道南『おしま女性農業委員の会』についで道内で2番目の女性農業委員の組織となる。
釧路総合振興局管内・根室振興局管内農業委員会の共催により平成27年5月15日に開催した「女性農業委員研修会」において、両管内の女性農業委員の交流・研修ができるネットワークの設置の希望が多数出たことから会が設立された。
両管内において、女性農業委員がいない農業委員会もあることから、両管内全ての農業委員会において女性農業委員が登用されるよう働きかけを行っている。

 根釧女性農業委員の会の構成
根室市農業委員会  2名
中標津町農業委員会 1名
厚岸町農業委員会  1名
浜中町農業委員会  2名
標茶町農業委員会  2名
白糠町農業委員会  2名
計    10名

 

 中標津町農業委員会における取組事例

 《家族経営協定を活用した担い手の育成》

 平成28年4月28日、中標津町役場で、30年目となる家族協定調印式を開催。(中標津町農業委員会主催)
7組の親子が協定書に調印。
中標津町は、「経営と生活の境目があいまいになりやすい家族経営の中で、経営方針や役割分担と労働条件などを明確にすることにより、後継者の意欲や責任感を高め、経営移譲をスムーズに進められる」とのことから担い手対策の一環として、1986年から家族協定の締結を推進している。
これまで、協定を締結した親子は、262組。